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色と欲望の時代

姦なる思い...
06 /01 2018

 其れはまだ人々が「愚」と云う貴い徳を持って居て、世の中が今のように激しく軋み合わない時分であった。女定九郎、女自雷也、女鳴神、―――当時の芝居でも草双紙でも、すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった。誰も彼も挙こぞって美しからんと努めた揚句は、天稟てんぴんの体へ絵の具を注ぎ込む迄になった。芳烈な、或は絢爛な、線と色とが其の頃の人々の肌に躍った。
                                     谷崎潤一郎『刺青』より

 ・・・。

 それはまた、女の情念の時代でもあった。男たちは皆、女体と戯れ、ある者は溺れ、またある者は激しく鞭打った。世間の平和と笑いの裏で、男と女の尽きせぬ情欲が激しく交わり合い、幾夜ともなしに繰り広げらた・・・。


 

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